古希の歳を迎えて生涯学習と実践
2018年4月(2019年9月画像他追記し自分で製本)
我部山民樹(かべやまたみき)
Ⅰ.はじめに
昨年(2017年)古希を迎えて、市原市の市民大学と千葉の‘いきいき大学’に入学し、生涯学習を学ぶことにした。また、無料の講演会を積極的に参加し、聴講することにした。
老後の豊かな生活と健康寿命延長の対策、医療介護や認知症介護の問題、団塊世代が超高齢化を迎える2025年問題、相反して少子化する為、年金の財源や増大する医療・介護費に伴う財政の崩壊危機、医療介護・認知症介護等に伴う病院・介護施設の不足や医者・看護士の人的な不足問題等、人類未曾有の時代を日本がすぐに迎えることを認識しつつある。
健康寿命延長を目指して、出来るだけ、脳、口、手、足を使ってみることにする。取りあえず、1年間やってみて、後は気力・体力と限りある老後資金と相談しながら、取り組むことにする。
まず、脳活として何でも記録することにした。見聞きしたことを思い出しながら書くことは脳活に良いと学んだ。それまでも、ほんのメモ程度は記録していたが、詳細に記録することにした。2~3日を過ぎると記憶がおぼろげになることも再認識した。
66歳で退職して‘富士山に登ってみたいから始まって、70歳までに百名山のうち、登りたい山をできるだけ登山する。出来れば半分以上は登頂したい。’ことを決心して、継続してきた。念願の劔岳、槍ヶ岳、奥穂高岳も登頂し、百名山の55座を登頂した。山登りは続けたいが、他にやってみたいこともあり、今年からは‘ゆったり登山’を主体にする予定で、市内のハイキングクラブにも入会させてもらったばかりだ。
一生続けるつもりのゴルフは決して上手くはない。というより、むしろ下手になってしまったが楽しいものだ。性別を問わず、年齢差を問わず、腕前を問わず(ハンディキャップ制がある)に一緒にプレーできるスポーツは他に見当たらないからである。ゴルフ倶楽部他にも入会して楽しんでいる。‘歩き’もやっているので、足を使うことは十分足りていると思う。
口はどうか?歌が良いそうだ。高校の同級生の男性H氏と女性Uさんがシニアコーラスクラブに所属している。Uさんは同期の歌姫と呼ばれている。そのシニアコーラス大会やソロのコンサートを観賞した。オペラシテイとかみなとみらいホール他だ。ここでは古希の人はまだ若僧だ。先輩達が楽しそうに歌って
いる。皆さん、元気そうだ。健康にとても良いのだろう。歌うことだけでなく、
このようなところで歌うのは励みになるだろうし、元気を貰えるのだろう。聴くだけでも楽しめる。歌える人がうらやましいと思う。ひょんなことから、Hさんとコーラスの練習会に参加した。会場で会った高校の同級生Sさんに誘われたのだ。最初はSさんのコンサートに行くつもりだったが、練習会に参加したのだ。彼女は中学生のときに、NHK主催のコーラスの全国大会で2位だったそうだ。今もコーラスやソロを続けている。練習会で周囲から音階の異なる歌声が聞こえると、とても歌えない。元々カラオケの単一の音にもなかなか合わせられないのだ。周囲に音程を外す人がいると調子が崩れるそうだ。傍迷惑だ。やはり、歌はパスだ。
手はどうか?以前より、形の残ることをしたいと思っていた。絵も字も下手なので、以前から興味のある陶芸を考えた。若いころ陶芸家を目指したことのある学生時代のクラブの仲間Sさんが横浜に住んでいる。最近、仲間数人と一緒に押しかけ、作品と窯(今はオブジェになっている)を見せてもらった。作品の壺は驚くほど素晴らしい。絵も見せてもらったが上手だ。押しかけた仲間の1人Kさんが作ったお皿の収納箪笥も素晴らしい作品だ。趣味でやっているが、時々人にも作っているそうだ。陶芸は窯の有る場所に行かなければならない。時間の制限があり、自分の時間調整が難しい。観賞だけで満足することにする。
‘いきいき大学’の木彫教室を選択する。作品が残るし、自宅でやれるので時間の融通が効く。最初に驚いた。意外なことに彫刻刀が上手く握れないのだ。外国人が初めて箸を握るときも同じような感覚だろうと思う。そして絵心が必要と分かる。やはり、絵画、陶芸、書道、木彫等は共通のセンスが必要なのだろう。無い人にはどのセンスも無いのかも知れない。失敗したと思いながら、彫刻刀を買ってしまったことでもあり、他に思いつかないのでしばらく続けてみる。不思議なことに何とかなりそうに思えてくる。今は‘高齢者の趣味は何でもやってみるものだ。’と思う。誰にも迷惑をかけなければ、それでよいのだ。
4年前、大学の同じクラブにいた田中奈保美さんに、著作本「枯れるように死にたい」を頂いたので、拝読した。高齢者の終末医療問題、それに人間らしい最期の在り方だ。それまで終末医療問題を何も知らなかったこと、老後や死についてほとんど何も考えてなかった自分に愕然としたことを思い出す。それ以来、老後の生き方について学習しなければと思っていた。昨年の3月に老犬の介護も終わり、時間の余裕ができたのでシニア向け生涯学習大学に入学した。
また、高校の同期生、大江舜氏の最近の著書「団塊絶壁」(団塊世代の生き方、病気、性、お金、人間関係、死他)を参考にしたいと思っている。
高齢者として‘豊かな老後の生活と健康寿命の延長’を目指して、まずは自分のため、家族に迷惑をかけないため、また現役世代に迷惑をかけないため、今後
もピンピンコロリを目標として頑張るつもりだ。しかしながら、誰しもが、健康
にいくら留意しても病を避けられないことがある。病に倒れてしまって、終末期に、過度な延命治療は自分にとっても不幸である。健康なうちに事前指示書を作成し、お互いに家族や現役世代に迷惑の掛からないようにする。家族への配慮は当然のことだが、健康寿命の延長と終末期への事前準備は我々団塊世代全員の現役世代への義務と思い始めている。「自分らしく生きて、人間らしい最期」を迎えたい。
事前指示書とは、‘終末期に延命治療をするかしないか、または誰にゆだねるか’の指示書であり、病に倒れてしまったら、自分の意志で治療方法を決められなくなる。過度な延命治療は自分にとっても不幸である。健康なうちに事前指示書を作成し、家族ともよく話し合っておくことが重要と思われる。(高林克日古氏の著書‘高齢者終末医療 最良の選択′に考え方や作成方法等が記載されている。)
ふとしたことで、記録を書き直すことになった。市民大学の‘図書館調べ講座’でご一緒した一期先輩のT さん の書き物を読ませて頂いた。とてもユニーク な海外旅行記(長期に亘る単独旅行)で、とても面白かった。返却するときに、‘人の書き物を見たいというのは、貴方も書いているのだろうから、見せてくれませんか’と頼まれた。‘自分用に書いているで、誤字・脱字もあるし、個人名も書いたりしているので、人には見せられるようなものではない’との理由でお断りした。後で、申し訳なく思って、自分が理解できる範囲のメモであり、自分用のメモ書きであることをお断りした上で、渡そうとした。が、再び会うチャンスが無かったので、生涯学習の関係者の方に託した。同時に、資料探しでお世話になった図書館の方にもお渡しした。それが縁で、ここに書き直すことになった。
縁というものは本当に不思議なものだ。ほんの数か月前には思いもしなかったことをしている。
追。他にも触発を受けた方々が大勢います。感謝しています。
皆が生涯学習を受講するのも、種々の講座を聴講するのも難しいでしょうし、また様々な分野の専門家の著書を読むのも大変です。これが少しでも参考になればと思います。
略歴
1947年 愛媛県新居浜市に生まれる
1966年 香川県立丸亀高校卒
1970年 横浜国立大学工学部化学工学科卒
2013年 住友ケミカルエンジニアリング(株)退社
2017年 生涯学習の‘いちはら市民大学’に入学
2017年 千葉の高齢者生涯学習団体‘いきいき大学’に入学
2019年 いきいき大学 理事
市原市桜台に在住。 百名山55座目 以上